再生計画に基づく支払いが困難になったとき

 個人再生を利用した後,収入の状況が変化して支払いが困難になる場合があります。

 このような場合,再生計画変更の申立てや自己破産申立などの手段が考えられますが,いずれも要件が厳しかったり,債務額に比べて弁護士費用が高額であったりするために,利用できない場合が多くあります。
 このような場合には任意整理を行うことが考えられます。任意整理には再生計画変更申立や自己破産申立のような複雑な条件はなく,弁護士費用もそれほど高額であはりません。各債権者に対し,新たな支払条件を提示し,これに債権者の同意が得られれば,成立します。但し,弁済期間があまりに長期にわたる場合や,再生計画で決まっていた弁済総額を下回る場合には,債権者の同意は得られないでしょう。

 また,当事務所では,任意整理まで行わず,家計管理をした上で弁済資金を積み立てて,各債権者に再生計画で定められた弁済額と同額の支払いをするということもしています。要は再生計画通りの金額は支払うけれども,支払いの遅れを待ってもらうのです。もちろん債権者の理解が必要ですが,支払いが困難になった状況について誠実な説明をすることにより概ね協力は得られています。

 このような事案をお引き受けして家計の状況を検討をしていると,家計支出に問題点が見つかることもあります。例えば,弁済資金を得るために,携帯端末を購入して転売したり,大切なものを質入れして高額の利息を払っているような場合です。もとは債務の支払いをするためにしたことですが,却って家計が苦しくなってしまっている状況です。

 このような事態になる前に弁護士にご相談いただくのが理想です。支払いが難しくなった時には少しでも早くご相談を頂きたいと思います。様々な行動をしたために却って苦しむ期間が長くなるのは残念なことです。ただ,もしこういった問題があったとしても,どのように家計を立て直すかということを,弁護士が一緒に考えていきます。これらの手続きやご相談については法テラスの利用が可能な場合もあります。

 なお住宅資金特別条項を利用された方は,住宅ローンを支払い続けている限り,自宅を失うことはありません。