夜回りに参加させていただきました。

大阪市北区でホームレスの方々,生活困窮者の方々を支援されている認定NPO法人Homedoor (ホームドア)さんの夜回り活動に参加させていただきました。

 

www.homedoor.org

 

普段の私の業務では,仕事の性格上,生活保護申請のみしかお手伝いをしておらず,生活保護申請に至る前の方々の現状や,申請後の生活状況を知る機会はほとんどありません。

そのため,どのような方々が路上で生活されているのか,どのようなことを望んでおられるのか,どのように声をおかけすればよいのか,ということを知りたいという思いが強くなっていました。

今回の夜回りでは,繁華街を2時間ほど歩きました。一見して路上生活をされていると分かる方ばかりではなく,一般の旅行者と区別が付かない身なりをした方や,逆に路上生活をされているように見えるけれども,実際にはそうではなく,事情があり家に居づらいために戸外で時間を過ごしているという方もおられました。

路上で出会う方々は,他の通行人や旅行者に紛れ,目立たないようにひっそりとベンチに座っていたりするのですが,夜回りを続けておられる方々は慣れており,すぐにそういった方々を見分けて声をかけておられました。お弁当,お茶,カイロなどをお渡しするのですが,喜んで受け取ってくださる方もいれば,丁寧に断られる方もおられました。この日お会いした方々は,すぐに助けてほしい,生活保護を受けたいと訴える方はいらっしゃいませんでした。

Homedoorのスタッフの方々の話では,夜回りは月に2回実施しており,そこで出会う方々のほとんどは数年前からスタッフの方と顔見知りだということでした。そして,顔見知りになって言葉を交わすようになっても,生活保護を受けたり,家を借りて暮らすことは望まれない方が数多くおられるということでした。それでも,本当に助けが必要になったときに頼れる先があることが大切ということで,定期的に夜回りをしてお会いするようにしているということでした。

元当事者でボランティアを続けている方のお話では,かつて生活保護を受けていた時に知人から税金を無駄遣いしていると非難されたり,福祉事務所のケースワーカーから侮辱的な扱いを受けるなどされたたために生活保護を受けることに嫌悪感を持っている方,親族との関係が悪かったり親族から虐待を受けたりしているために生活保護申請時に行われる親族への扶養照会を恐れている方などが,路上生活を選んでいるということでした。中には,福祉事務所の指導に従いながら暮らしていくことに馴染めず,厳しい路上生活を敢えて続けている方もおられるということでした。

近年では,大っぴらにブルーシートハウスを作って生活できる場所もなくなり,ベンチには寝ころべないように仕切りがつけられたり,路上生活中に雨露を防げそうな場所にはゴロゴロした石が路面から突き出すように埋め込まれたりフェンスが張り巡らされたりし,路上での生活がますます厳しくなっています。こういった状況にかかわらずあえて路上生活を選択する方々がいるということについて,単に個人が自由に選択した結果と片付けることはできないように思います。

生活保護に対する偏見や心理的な障壁,生活困窮者のおかれた状況に対する社会的な無理解,不十分な福祉施策など,構造的な問題と考えます。