上野千鶴子著「在宅ひとり死のススメ」 

著者は,1人暮らしで介護が必要になったとき,認知症になったとき,それでもできるかぎり死ぬまで在宅で生活する道を自分のこととして探求しています。本書は,高齢者の一人暮らしは,たとえ介護が必要になっても,難しいことでも,恐ろしいことでもなくて,多くの人にとっては最善の選択となりうることを,豊富な知見に基づいて教えてくれます。

著者は,認知症の予防に躍起になるよりも,認知症になっても安心して暮らせる社会を作ることを提唱し,安楽死尊厳死を,人の役に立たなくなったら死んでもよい・死ぬべきという価値観に通じかねないものとして注意喚起します。老化と死は誰にでも訪れるものですから,多くの人々にこのような価値観が共有されることを望みます。

 

 

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