自己破産申立が不安な方へ

 自己破産を検討中の時,これからの生活はどうなるのか,必要な資料集めがきちんとできるか,弁護士や裁判官から叱責されるのではないかなどの不安がつきものです。
 当事務所ではこれらの不安をひとつひとつお伺いした上で依頼者の方に安心していただけるように,心がけています。多くの方が不安に思われている事柄を書きます。

1 今後の生活について
  自己破産では,原則として不動産や自動車などの大きな資産を手放すことになる他は,生活状況が急に変化することはほとんどありません。
 自己破産を弁護士に依頼した後は,これまでしてきた弁済を停止することになります。弁済を止めても,金融業者が急に厳しい取り立てを始めることはありません。反対に,弁護士がご依頼を受けている間は,金融業者からの連絡は全て弁護士宛に来ますので,ご本人に対する金融業者からの連絡は一切なくなります。金融業者から仕返しや嫌がらせを受けることもありません(闇金融などについては嫌がらせが止まるまでに少し時間がかかる場合があります)。但し,保証人がいる場合には,保証人に対して請求が来るようになりますので,その方々についても法的解決法を検討しておくと安心です。
 自己破産のみを理由として解雇することは法律上許されません。自己破産を勤務先に知られることはまずありません。職業制限は一部ありますが,ほとんどの職業には関係ありません。
 持ち家は手放すことになりますが(手放す方法やタイミングについては,個別の事情によりますので,弁護士にご相談下さい。),賃貸住宅を退去させられることはありません(家賃を長期に渡り滞納している場合は別です。)。自己破産前後に転居することも自由です(但し,保証会社が必要な賃貸住宅を借りるときなどには,破産をしていたり,家賃の滞納歴があると,転居先探しに困難が見込まれます。)。
 また,携帯電話や電気・ガス・水道の契約をうち切られることもありませんし(料金を滞納しているときは別です),銀行口座を開設することも可能です(銀行から借入をしている場合は,若干の例外があります。)。
 しばらくの間は,自己破産の事実が信用情報に掲載されますので,新たな融資は受けられませんし,クレジットカードが使えなくなるなどの不便はありますが,良い方に考えると,収入の範囲で生活をする習慣を身に着ける機会とも言えるでしょう。一定の期間が経過すると,この不便な状態は解消されます(但し,申込時の就労状況や年収等により,融資の可否は左右されます。)。
 周囲の人々に自己破産をしたことが知られる可能性もほとんどありません。
 破産と同時に離婚される方もおられますが,それは破産が原因というよりも,夫婦間の信頼関係が不十分であった場合と考えられます。夫婦間の愛情が変わらないのに,破産と同時に離婚する法的なメリットはあまり想定できません(世間を気にして離婚される場合もあるようですが,そもそも破産した事実を他人に知られることは希です。)。破産者の配偶者の資産が差押えを受けることはありません。
2 資料集めについて
 本籍地が遠方にあるが戸籍謄本の取り寄せ方法が分からない,足が悪くて役所に書類を取りに行けない,預金通帳を紛失してしまった,退職金規程が必要なのに勤務先に言い出せない,家計収支表の書き方が分からない,読み書きが苦手で書類が書けないなど,様々な悩みをお聞きします。

 これらについても,個別に事情をお伺いして,資料集めでつまづくことがないようにお手伝いしています。依頼者の方々には,資料が用意できない場合には,悩まずにその都度電話でご相談頂くようにお願いしています。
3 弁護士,裁判官との対応について
 当事務所では,依頼者の方に安心してご相談いただけるように務めております。
 自己破産を検討しておられる方は,既に自責の念にかられたり,多額の負債を負ったことについて負い目を感じたりされています。しかし,弁護士がこれまでの行動を責めても何の解決にもなりません。むしろ,依頼者の方には十分に安心して頂いた上で,これまでの事柄を正しく説明して頂かなければ,破産手続を円滑に進めることはできません。依頼者の方が弁護士を怖がって,自分に不利な事柄を弁護士に言い出せなかったために,手続がうまく行かなかったという事例を見聞きすることがあります。そのため,当事務所の弁護士は依頼者の方を叱責するようなことはありません。
 また,自己破産手続では,裁判所にて審尋が実施される場合があります。このときには,手続の性質上,裁判官からの説諭があり,裁判官の個性によっては,叱責されているように聞こえる場合も確かにあります。緊張のあまり,うまく話ができないのではないか,と不安に感じることもあるかも知れませんが,この手続には必ず弁護士が立ち会い,必要に応じてサポート致しますので,心配はありません。当事務所では,うつ病を抱えておられる方など,精神的に不調な方々からも多くご依頼を受けておりますが,どんな方でも,審尋で失敗して免責が受けられなかったという事例はありません。

 

 以上の他にも,自己破産にあたっては様々な心配ごとがあるものです。弁護士に遠慮をして知り合いなどからアドバイスを受けておられる方も少なくありませんが,こういったアドバイスが間違っている場合は多いです。些細なことでも弁護士へ聞いてくださることが解決への早道です。