生活保護の申請ではどのようなことを聞かれるのか

私が申請される方に同行した際に見聞した経験にもとづいておおまかにご説明します。個別の事情により細部は異なりますし,他のことを聞かれることもあります。また,弁護士が同行しない場合でも内容は同じようなものと思われますが,「あまり話を聞いてくれずに申請を断られた」「働ける年齢だから無理と言われた」などというお話もよく聞きます。

 

■氏名,住所,年齢などの大まかな確認

記入用紙を用意している自治体もあります。運転免許証などお持ちの身分証明書の提示を求められることもあります。

■申請理由について

怪我,病気,高齢,不況のために働くことができず,頼れる親族などもなく,収入がないということが理由としては多いと思います。不況でなかなか仕事が見つからないというのも正当な理由です。

若くて健康なのに就労先がない場合には,就職活動を行うように指導されます。

病気(うつ病などのメンタル面の不調を含みます)で働けない場合は,医師の診察を受けるように指導されます。医師から就労不能との診断が出れば,就労指導は行われません。

■収入について

働いている方は勤務先と収入金額を,働いていない方はその理由を聞かれます。

また働いて得る収入以外に年金,養育費,仕送りなどの収入の有無について聞かれます。

■生活状況について

どこで暮らしているのか,自宅は持ち家か賃貸か,同居人はいるのかなどについて聞かれます。

病気や障害をお持ちの場合は,通院先などを聞かれます。

■資産について

不動産,保険契約,預金口座などについて,どこにどのような資産をお持ちなのか確認されます。

■生い立ちについて

どこでどのように暮らしてきたのかを順を追って詳しく聞かれます。

出生地,学歴,職歴,結婚歴,転居歴,犯罪歴など,かなり細かく聞かれますので,予め書き出しておいて持参するとスムーズです。

犯罪歴などがあっても不利にはなりませんので,ありのままに説明しましょう。

■親族関係の確認

親,子,兄弟などについて,名前や居住場所を聞かれます。親族から援助を受けられるかどうかも聞かれますが,援助を受けられない場合は,受けられないとはっきり説明しましょう。親族がどこに住んでいるか分からない場合には,住所は分からないと説明すれば足ります。

この聞き取りをもとに,福祉事務所から親族に対して扶養照会が行われますが,扶養を受けられる見込みが全くない場合や,危険な場合(親族の暴力から逃げている場合など)には行われませんので,そのことをはっきりと伝えましょう

 

以上のような事柄について,質問を受けて口頭で答えるだけではなく,申請用紙にも自分で書き込むことを求められます。申請用紙の書き方は担当者が教えてくれます。聞かれた事柄には誠実に答えましょう。特に資産や収入は生活保護の適用要件に関わりますので,きちんと説明しましょう。